センター試験から変わりすぎで大学受験は難易度上昇か

以上、8項目がセンター試験から共通テストに衣替えするにあたって、変更になる見込みです。

まとめますと、読解力などを問うために、難易度は現行のセンター試験よりも上昇する可能性が高いです。

そうなると、共通テストは敬遠しようとか、私立大専願で、いや、いっそのこと、簡単そうな推薦・AO入試で、と考える受験生もいるでしょう。

が、私立大は入学定員の厳格化などの影響で難関大だけでなく中堅、中堅以下の大学もそれぞれ倍率が上昇しています。

特に東京都内の私大は大きな影響を受けています(このあたりは別記事で出す予定)。

それから、推薦・AO入試ですが、こちらも一般入試に比べて楽、というわけではありません。読解力重視の流れは推薦・AO入試でも変わりません。

2018年、甲南大学の推薦入試で私のコラム(2019年3月まで毎日新聞関西版での就活コラム連載)が使われました。

当初、私が知らなかったのは言うまでもありません。問題文の著作権者に大学が告知することはまずないので。

この推薦入試の問題を第一学習社という出版社が収録したいので許諾を、と連絡してきたのが2018年秋のことでした。

異論はないので承諾したところ、ゲラと収録の参考書(『小論文実力養成講座 ステップアップ小論文』第一学習社・編/2019年2月改訂7版)が送られてきたのです。

私のコラムは新聞コラムとしては分量がやや多く1800字程度あります。それだけでも読む高校生は面倒と思ったのですが、私の想定を甲南大学は上回っていました。私のコラムとは別に同じテーマのコラムをもう1本(ほぼ同分量)、読ませたうえで「これらを比較し、コミュニケーション能力について、自分の考えを六〇〇字程度で述べよ」。

他にも課題文とデータを両方読ませる複合型(同問題集では関東学院大学を収録)など、推薦入試・AO入試のザル状態を知る身からすれば、「え?こんなに難しいの?」という問題がズラリと並んでいました。

このことを高校講演で紹介したところ、多くの高校教員から、

「よくぞ話してくれた」

「今の保護者は推薦入試を甘く見すぎている。実際はどの大学でも難化しているのにそれを理解していない」

との意見が続出したのです。

このように共通テストを敬遠しても、共通テストの影響は推薦入試・AO入試ですでに出ているのです。

大学入試改革の方向性として、読解力や思考力の重視、「主体的・対話的で深い学び」(大学入試改革のお題目の一つ)を問うことには私も異論はありません。

が、そのためにはもっと慎重、かつ、丁寧な議論のもとに進められるべきでした。拙速を重ねて迷走した結果、受験をする高校生はいい迷惑です。せめて今後の収拾策は受験生を第一に考えていただきたいものです。